暑さがまったく緩まずに8月です。炎天下の日中で元気が良いのはもはやセミだけ?
今年は新潟県内は記録的な少雨でお米や野菜、果物などの農作物に日照りの影響が徐々に出始めていてとても心配です。
山の中の西生寺も水道インフラはなく弥彦山の地下水を利用しているので今後の水の出が気になります。あと紫陽花などの境内の樹木もこのまま高温で日照りでは枯れてしまうのではないかとこちらも心配。。。
どうか1日も早く適度なまとまった雨が降りますように…
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さて、夏の盛りの8月は終戦日やお盆があり亡くなった人に思いを馳せたり追悼したりと‶あの世‶がとても身近に感じる月です。あの世から我々の暮らすこの世への里帰り、ご先祖さまたちがとっても楽しみにしている「お盆」が今年もいよいよやってきます。
(お盆中は水子地蔵さまにもたくさんのお花のお供えがあがります)
お盆の準備の始まりといわれる8月1日には、
初めてお盆の里帰りをするご先祖さまのための法要「新盆会」が今年も執り行われました。
簡単にいうと初めての里帰りとなる新米のご先祖さまを迎える親族・家族が集まり、
慣れない旅路で迷子にならないように「頑張れー」とエールを贈る法要です。
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それでは毎年ですが今年も「定番のお盆準備」を簡単にご紹介したいと思います。
➡最初に「盆道(ぼんみち)作り」。草を刈ったりのお墓そうじをします。
➡8月7日は「磨き盆」。お仏壇の仏器を磨いたりお仏壇を綺麗にお掃除する日です。
➡そしてお盆中に精霊棚にお供えをする仏花、果物やお菓子、盆アイテム、故人の好物などの買い出し。
➡最後に「精霊棚作り」。お盆の間ご先祖さまがだっくらと過ごされる大切な場所です。
ちなみに下の図は本山(智積院)より「ごく一般的な精霊棚の図解」です。ぜひご参考に。
ということで今回の本題「精霊棚」です。
精霊棚(しょうりょうだな)とは、お盆で里帰り中のご先祖さまが過ごす居場所の事で
この棚を作ると「ああお盆だな」と思わせてくれる風物詩的な存在で‶お盆の花形‶でもあります。
本山の「精霊棚の図解」はスタンダードな精霊棚ですが、実際には各地域、各家で代々受け継がれてきたさまざまな「精霊棚」があります。ふだんはお仏壇にある「お位牌」を精霊棚に移して配置する事は全国共通です。
お盆の時期、全国の多くの寺院では檀家さんの家々を回ってお経をあげますが、これを昔から「棚経(たなぎょう)」「お棚参り」といいます。これはお盆の時期だけの言い方で各家の「精霊棚を参る」からその名がつきました。
それではさっそく去年のお盆に住職が「棚経」で訪れた際に許可を得て撮影をした
「我々の地域の正統派かつとっても立派な精霊棚」2つをご紹介したいと思います。
すごいです!!
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①西生寺檀家総代「今井家の精霊棚」
両脇の笹が清々しくとても涼しげです。このようなミニ野菜をヒモで吊るすスタイルは我々の地方の伝統です。キュウリの馬とナスの牛もありますね。棚にお供えされた「霊供膳」は1日1回の地域と、朝昼晩1日3回お供えを替える地域もあります。
電気コードがあるので「十三仏さま」の掛け軸や棚全体がライトアップするのかもしれません。素敵。右側の遺影の方は今の総代さんのお父様、先代の檀家総代さんです。
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②村の漁師「網元家の精霊棚」
これまた立派な精霊棚ですねーーこもを敷いた段々がハンパないです。お供えの果物やお花がたくさん。ヒモで吊るされたミニ野菜のぶら下がり方も可愛いです。
霊供膳の横には、蓮の葉の上にさいの目に切ったナスやキュウリなどを乗せた「あられ」がお供えされています。この家のご家族より「棚を作るのも大仕事」と聞いたことがありますが、ほんと手間暇かかっています。素敵です。
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じつは私は毎年お盆中はずーっとお寺にこもり「留守番」や「墓守り」をしていまして、
嫁いで30年以上経ちますが去年のこの写真で初めて「他家の精霊棚」というのを拝見したんです!!
初見はほんと衝撃でした!!
住職からずーっと「よその家は段をつくって竹を横に渡してヒモでミニ野菜をぶら下げたりいろいろと凝っている」と聞いていたのですが意味がわからなくて、、、
でも一目瞭然とはこのこと!
手間暇かけた豪華さと伝統を守った品の良さや段々になった棚の立派な作りに
「うわーーあ!素敵!なにこれーーーー!!」と大変感動しました。
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で、戻って我が家の「精霊棚」ですが、先代のお母さん(園子ママ)から受け継いだ場所とスタイルに私の個性と真心をプラスして毎年私が作っています。
場所は客殿の位牌がたくさん並んだ「位牌壇の下」が定位置。
自分たちのご先祖さまだけじゃなく「お寺にご縁のあった全てのご精霊さまどうぞいらっしゃい賑やかにみんなでだっくら過ごしてください」という考えのもとだからです。
そして他の家のような段々もなく野菜をヒモに吊るしてぶら下げることもなく、毎日1品の料理を出しますが「霊供膳」もありません。
ですが、お嫁時代に園子ママに教わったスタイルを守るというのもひとつの真心かなーとも思うので「滞在するご先祖さまの居心地が良いように」心を込めてこれからも作り続けます。
おまけ話ですが私の精霊棚には毎年‶テーマ‶があって去年の「精霊棚2024」のテーマは確か、、、
「世界のグルメ」です!笑
「正統派の精霊棚」を紹介した後でちょっと恥ずかしいのですが「我が家の精霊棚」も見てみます?
本当に見ますか?
はい ではどうぞ~~~
③阿刀家の精霊棚2024(世界のグルメ)
THE平屋!THE雑多!ごっちゃり感がたまらなく好きです。
昨年は岩塚製菓より6月~7月に限定発売された「地球の歩き方」とのコラボせんべいを求め、スーパーをハシゴして全種類必死に‶精霊棚用‶に買い集めたんでした笑。
パッケージが歩き方のガイドブックになっていて。表のイラストまで最新号のイラストと同じという、歩き方ユーザーであり旅好きな私にはたまらないコラボで絶対ご先祖さまの棚にお供えしなきゃーって。
このように同じ風習を持つ地域でもその家々でまったく違う個性が出るというか、ちょっとしたこだわりが加わって「ご先祖さまの居心地の良いような設え」が施されてその家ごとの心のこもった「精霊棚」が完成するのです。
昔は西生寺檀家さんの「お仏壇とは別の精霊棚設置率」は100%でしたが、現在は2割程度に減っていてお仏壇の前に机を置いて机の上にこもを敷いたり霊供膳やお盆アイテムを飾る「お仏壇一体型精霊棚」が主流になっているそうです。(我が家も机型なのでこのタイプ?)
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このようなお盆の準備のアレコレをしてばっちり整えて8月13日、あの世から我々の世界へ「待ちに待った里帰り」をされるご先祖さまをお迎えしてお盆が始まります。
皆さん今年も素敵なお盆をお過ごしください。
そしてお墓参りも忘れずに。。。